お仏壇の歴史:仏教伝来から現代のモダン仏壇まで

お仏壇は日本特有の文化。ルーツは奈良時代の玉虫厨子

お仏壇が日本特有の文化だということは、ご存じでしょうか?現代のお仏壇のルーツとされるものは、法隆寺に安置されている国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」というお仏壇です。厨子とは、大切なものを安置するための扉がついた入れ物のこと。玉虫の羽を使い、美しい装飾が施されていることから、玉虫厨子という名がつきました。

装飾に用いられた玉虫と羽。現在は、玉虫厨子から玉虫の羽がほとんど無くなってしまっている。

仏教が日本に伝わったのは、6世紀ごろに朝鮮半島の百済(くだら)からと言われています。このころの日本は、古墳時代から飛鳥時代へと移り変わる時代でした。日本に仏教が伝わったものの、この時代にはまだ、供養のためのお仏壇はありませんでした。お仏壇の原型「玉虫厨子」が登場したのは、それから約100年後の奈良時代のことです。奈良時代の歴史書『日本書紀』には、天武天皇が「仏壇を作って礼拝せよ」と命じたと書かれており、それが発祥と考えられています。

仏教を国の宗教とした幕府による檀家制度

奈良時代にお仏壇を所有しお祀りすることができたのは、一部の貴族や役人だけでした。 その時代の庶民は、位牌などをお祀りしていたそうです。庶民がお仏壇をお祀りするようになったのは、江戸時代になってからと言われています。その一端を担ったのは、幕府によるキリスト教の信仰禁止と檀家制度でした。

江戸時代初期、幕府はキリスト教の信仰を禁止し、すべての庶民にいずれかの寺院に属することを義務付けました。これを檀家制度(寺請制度)といい、この中でお仏壇をお祀りすることも義務付けられたため、お仏壇が一般化しました。

住宅事情やライフスタイルに合わせて変化するお仏壇

代表的なお仏壇には、江戸時代に広まった「金仏壇」と明治時代に広まった「唐木仏壇」があります。また、核家族化や住宅事情の変化といった、現在のライフスタイルに合わせた「モダン仏壇」というものもあります。和室や仏間のある家は少なくなったため、お仏壇もそれに合わせて小型化が図られ、デザインも洋室などに合うものへと変化していきました。これまでの荘厳なお仏壇に代わり、支持されるようになってきています。

左から金仏壇、唐木仏壇、モダン仏壇。