位牌について:先祖の霊が宿る大切なもの

位牌には、故人の生前の情報が残っている

位牌は、故人の戒名や法名、俗名、没年月日、年齢などを記した木牌のことです。起源は中国の儒教で、先祖祭祀に使用された位版にあるとされています。鎌倉時代に禅宗とともに日本に伝わり、使用されるようになりました。位牌は、先祖の霊が宿るものとされることから、神道における依り代の考えが強く影響を受けていると考えられています。

位牌は、大きく「白木位牌(しらきいはい)」と「本位牌」に分けることができます。四十九日までは仮の位牌である白木位牌を使い、以降は本位牌に変えます。永久に設置するものではなく、33回忌でお焚き上げをするのが一般的です。その後、先祖代々のために用意した位牌に一緒にお祀りすることになります。位牌はご本尊が隠れないよう、ご本尊の下にお祀りしましょう。

白木位牌と本位牌の種類と役割

本位牌は四十九日までに作るのが一般的です。故人の霊の行き先が決まるとされているからです。その日をもって仮の位牌である白木位牌から本位牌に変えることになります。本位牌の大きさは、お仏壇の大きさや今ある位牌の大きさを考慮して決めましょう。

種類は、本漆やカシュ―漆などを使った塗位牌。紫檀(したん)や黒檀(こくたん)などの唐木を使用した唐木位牌。最近は、モダン仏壇の普及でデザイン性の高いモダン位牌も多く出回っています。位牌の数が多い方や、お仏壇が狭いので複数入れられない方はひとつにまとめる繰出位牌という方法もあります。大きさや材質、札板、連座、下台などの作りが、さまざまあるので、取り扱いの多いお店で店員に相談しながら選ばれるとよいでしょう。

さまざまな位牌

本位牌を作るときに注意すること

実際に文字を入れる場合、文字を彫るか、書くかを決めておきましょう。位牌の文字入れには、彫り文字と書き文字の2通りがあります。彫り文字は輪郭がはっきりとしており、シャープに仕上がり、劣化することがありません。しかし、一度文字入れすると変更できないので、文字の指定には注意が必要です。一方で書き文字は、修正は可能ですが文字がかすれるなどの劣化が懸念されます。柔らかい印象に仕上がり、手書きの場合は職人によって字体が異なるのが特徴です。

好みに合わせて選ぶとよいですが、すでにお祀りされている位牌がある場合は、そちらに合わせると統一感が出るので、並べたときの印象が良くなります。また、文字を間違えないようにと白木位牌や中陰表をわたすのではなく、写真やコピーを取り業者に渡しましょう。なお、浄土真宗は位牌ではなく過去帳をもって位牌の代わりとします。

写真左:彫り。写真右:書き。