ろうそくについて:仏事にとって灯をもって供養することの意味

供養するのに大切な役割を担う、ろうそく

仏事にとって灯をもって供養することは、華・香と並ぶ供養のひとつです。先祖や故人が道に迷わないようにするためでもあり、私たちの周りにある邪気を払い、浄化もしてくれるとされています。

品質の良いろうそくは、見た目にツヤがあり、ひびや曲がりがなく、芯の長さが適切なものです。また、点火すると油煙がでず、ろうだれもなく、炎の大きさが安定し明るく輝くことが良いろうそくの判断基準でもあります。火を消すときは、吹いて消すのではなく、手であおいで消すことが礼儀とされています。神聖な仏壇の前で、息を吹きかけるのは無作法とされているからです。

明かりを灯しつづけるろうそくは貴重品

ろうそくは紀元前3世紀ごろに作られたと言われています。イタリア・エトルリア地方に残る墳墓の壁画に描かれてあったり、中国でも紀元前3世紀、漢の高祖の時代に蜜ろう200枚が献上されたという記録が残っていたりします。

日本においては仏教伝来とともに始まったとされ、奈良の大安寺に残る資料によれば722年、元正天皇から「ろうそく40斤8両(約25キロ)」が贈られたとあります。当時はかなりの貴重品で、宗教儀式に使われること以外は、一部の階級者にしか利用されなかったようです。一般に普及し始めたのは、大量生産が可能になった江戸時代からと言われています。

ろうそくの種類(和ろうそくと洋ろうそく)

ろうそくは原料によって分けると、「和ろうそく」と「洋ろうそく」があります。和ろうそくは、蜜ろう、櫨ろう(はぜろう。櫨の木の実を原料としたもの)、米ぬかなど、植物性のろう分を主体として古くから日本で作られているものです。洋ろうそくは、石油精製の過程でできる白色半透明の固体パラフィンを主体として作られたもので、現在多く流通しているものは、洋ろうそくになります。

用途で分けると、日々の供養で使用する一般的な白色のろうそくも、長さにバリエーションがあります。最近は、安全性を考慮した「電気ろうそく」も人気です。慶事法要のときには「金ろう」、葬儀・中陰法要に使用される「銀ろう」、年紀法事や報恩講で使用される「朱ろう」などがあります。

このように用途もさまざまなので、専門店で相談されることをオススメします。