線香について:種類や宗派によって異なる立て方

線香の香りは、ご先祖様への大切なお供えもの

お仏壇のお供えには「お花、灯り、香り」が必要とされ、線香はそのひとつの「香り」を意味し欠かせないお供え物です。仏教の教えに「香煙は仏様や亡くなった方へのごはんです」とあります。また、線香を焚くことで、その場や自分自身を浄める効果や心を落ち着かせる効果もあるといわれ、とても大切なものです。

線香の起源は、聖徳太子の時代に淡路島に香木のひとつ沈香(じんこう)が流れ着いたのが始まりとされています。以後、仏事や神事に使われるようになりましたが、現在のように棒状の線香になったのは、江戸時代の初めとされています。

線香は、香木と呼ばれる伽羅(きゃら)、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)や、漢薬香原料の丁字(ちょうじ)、桂皮(けいひ)、大茴香(だいういきょう)などとタブの樹皮粉を調合し、練り上げ棒状にして乾燥させたものです。香料との配合具合で、さまざまな香りの線香があります。法事や命日、お盆、お祝いごとがあったときなど特別な日には、普段より良い、伝統的な香りの煙のでるものを使用するなど、使い分けをオススメします。

線香の種類

線香は「杉線香」と「匂い線香」に分けられます。

杉線香:杉の葉や小枝を乾燥させ粉末にしたものが材料。煙が多いため、お墓参り用の線香として使われます。

匂い線香:一般的にお寺や家庭で使われる線香。さまざまな香りがあります。

匂い線香も下記のように分られます。

香木系の香り。伽羅、沈香、白檀を使用し、伝統的な落ち着く香りのお線香です。材料は貴重で、これらの香木の含まれる割合が多くなると、値段も高くなります。

漢薬系の香り。桂皮(シナモン)、丁子(クローブ)、大茴香(八角)など漢方薬や生薬、スパイスにも使われる香原料です。香りを引き出したり、際立たせたりと個性的に表現された線香です。

フローラル系の香り。ラベンダー、バラなどの植物の花、葉、枝、根が原料。精油として使用し香りがつけられます。甘さや爽やかさ、華やかさのある香りのお線香です。また、フローラル系のお線香の大半が、煙の少ないタイプとなっています。機密性の高い部屋での使用、煙が苦手な方にオススメします。

最近では、お仏壇の小型化に合わせて、仏具も小さくなり、お線香も5cm〜8cm程の短い線香、ミニ線香(短寸線香)も人気です。

江頭仏壇店では、気になるお線香の香りを実際に焚いていただけるコーナーを設けています。

線香のあげ方

お仏壇で線香をあげる場合、まずは本尊に一礼をしてから、ローソクに火を灯します。ローソクの火を使い、線香に火をつけます。線香の火は、線香を持っている逆の手で扇ぐようにして消します。息を吹きかけて火を消すなどは、しないようにしましょう。

宗派によって異なるお線香の本数と立て方

浄土真宗本願寺派・浄土真宗大谷派
1本の線香を適当な長さに折り(2つ折り)、香炉に寝かせる。

曹洞宗・臨済宗・浄土宗・日蓮宗
1本のお線香を香炉の真ん中に真っ直ぐ立てます。

真言宗・天台宗
3本の線香を立てます。香炉のなかのお仏壇側に2本、自分側に1本立て、3本を逆三角形にして立てます。日蓮宗もこれに習う場合があります。